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Channel: F & F嫁の “FFree World”
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K-Ballet 「Triple Bill」

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7月16日土曜日、F嫁と渋谷へ行きました。
K-Ballet 「トリプル・ビル」 公演初日を観るためです。


GICOH GR


例によって渋谷駅で下車、スクランブル前で恒例の記念撮影です。
しかし外国人観光客の皆さんは本当にこのスクランブルが大好きですねぇ。

何人もの方が歩きながら動画を撮ったり、人の波を背景にセルフィーしたりしています。
おっとそこの120kg越え(推定)のブロンドお兄さん、街灯に登っちゃ危ないですよ(笑)



この日は湿度はありましたが気温は低く、日蔭では風が気持ちよく通り抜けます。
ジリジリした真夏に渋谷の人混みは本当に人生嫌になりますが、その点はよかったです。






GICOH GR


とはいえ夏バテの季節、ここは一番滋養強壮にとオーチャードホールの少し先にある鰻の大和田さんに向かいました。
こちらは土・日・祝はアイドルタイムが無いので変な時間にお腹の空く我々にピッタリのお店なんです。

鰻屋さんの定石注文を受けてから捌く、なので小一時間待つ覚悟です。
辿り着いたのが 15 時ですから、17時の開演に間に合うはずでした。

ところが入り口に小さな張り紙があり「本日は予約で夜まで終了しました」の文字。
残念無念、中途半端な時間なら大丈夫だろうと予約を怠った F のミスです。






RICOH GR


結局渋谷の街をあてど無く歩くもやはり 15 時という時間がネックで食指が動きかつ営業しているお店がありません。
結局、なぜ渋谷まで来て‥のアウトバックに入りました。

かる~くハンバーガーでも食べるかとそれぞれ注文しました。
下の F のはなにか物足りませんよね。それもそのはずチーズが入っていないからです。

乳製品全滅な F は代わりにケチャップとマスタードをかけて食べました。
大きいのでそれぞれ 1 個で満足です。

老舗の鰻とハンバーガーじゃ偉い違いですが、お腹も落ち着いたので東急を抜けてオーチャードホールへと向かいます。










RICOH GR


さて、今回の「トリプル・ビル」、K としては観るのは 2007 年以来 9 年ぶりとなります。
チケット先行発売日に F が仕事だったため、いつもはデンと構えている F 嫁が必死となりました。

ネットと電話の両方を駆使して獲ってくれたのは 1 階真ん中よりやや後方の S 席でした。
F 嫁お疲れさまでした。



以前から書いている様に、ウチはプリンシパルの 浅川紫織ちゃん が推しメンなんです。
トリプル・ビルの 3 演目のうち最後の「アルルの女」より、に紫織ちゃんは出演します。

それも滅多に無い熊川御大とのふたり芝居です。
ウチはほとんど紫織ちゃんの日しか通っていないので、御大の踊りを観るのはずいぶん久しぶりです。










「ラプソディ」


最初はアシュトンの「ラプソディ」です。
K 最年少のソリストである矢内千夏さんと、ローザンヌでの活躍も記憶に新しい山本雅也さんが中心です。

山本さんはスラッとしたイケメンで、フレッシュな矢内さんとのバランスもばっちりでした。
お若いふたりの熱演は充分わかった上で…



2007 年の「トリプル・ビル」 で観たのはカンパニーを代表するプリンシパル荒井祐子さんと、清水健太さんのペアでした。

正直言ってこのふたりは本当に凄かった。
荒井さんはカンパニーを牽引する存在なのは皆さんご承知だと思いますが、清水健太さんの踊りにも感銘を受けました。

御大同様、決してプロポーションに恵まれた肢体ではないけれど、端正な佇まいに魅力を感じました。
加えていったん踊り出せば、その空間を切り裂くシャープな身体の運びでいっぺんにファンになりました。

そんなふたりが奏でるラプソディが悪かろうはずもなく、たいへん印象に残っていたのでした。
普通、このような抽象バレエはあまり好きではないのですが、このラプソディはもう一度観たいと強く思ったのでした。


ベテランといってもよいふたりと今回のフレッシュペアを比較するのもなんですが…
アーティストで抜擢の山本さんはノーブルな魅力を秘めたダンサーで優雅ですが、もうひとつ力強さが欲しいところです。

矢内さんは先日オデット/オディールデビューを果たした期待の新星であることを再度かつ充分に証明したと思います。
舞台に登場しただけでパッと咲く華は、これから経験を積み重ねて大きくなっていくことでしょう。

でも考えてみたらあの若さでトリプル・ビルの一角を担い、アシュトンの複雑な振りを堂々と踊るのですから大したもんです。
舞台がダンサーを育てる‥のであればまごうことなき強烈な栄養になるでしょう。

若いふたりの今後に期待です。



脇を固める男女 12 人の中ではアーティストの盧 文伊さんに目が行きました。
首がスッと長くて F 的に非常にタイプです。F 嫁は新居田ゆりさんが気になったようです。

翻って 2007 年の「ラプソディ」では 12 人の内のひとりがウチのイチ押し浅川紫織ちゃんだったんです。
当時から F & F 嫁は彼女のファンでしたが、その存在感で目立っていました。








RICOH GR


30 分ほどの「ラプソディ」が終わるとすぐに 20 分の休憩タイムです。
いつもの窓際でいつものペリエ (F )&シャンパン (F嫁) です。








「シンプル・シンフォニー」



他の 4 人にはたいへん申し訳ないけど、祥子さんと遅沢さんばかりに目が行っていまいました。
それほどセンターふたりの存在感は圧倒的でした。

さらに身体が締まった感のある祥子さんは力強く盤石でありながら、ちょっとした表情や手先の仕草がなんとも詩的。
F が以前から強調しているアラベスクの静止からさらにひと伸びする空間も健在でため息が出るほど美しいです。

遅沢さんもいま K で祥子さんと対等に踊れるのは彼しかいないとの我が家的見解を裏付ける見事な踊りでした。
優雅でありながら決めるべきところはビシッと決める、そんな彼の美点がふんだんに感じられました。

シンプル・シンフォニーは K-Ballet のオリジナル作品ということです。
初めて観ましたがブリテンの音楽を効果的に使い、なかなか凝った構成で魅せてくれます。

双眼鏡での鑑賞だったこともありセンターばかりを観ていましたが、宮尾さん、栗山さんの男性陣も熱演でした。
栗山さんは少し線が細いものの、背中がとても柔らかくノーブルな王子的雰囲気がとても魅力的です。

宮尾さんはずいぶん昔から観ている訳ですが、古典の全幕はずいぶん良くなったと思います。
ただこういった抽象バレエではやはり身体の動きひとつで表現しなければいけない部分があると思います。

メリハリといったらいいのか、ケレン味に近い動静の比とか、何かか物足りないのですが上手く表現できません。

対比ということでいえば男性陣は、遅沢さん宮尾さんがガッチリ、栗山さんが細く見えました。
女性陣は祥子さんの身長が高いので、井上さん、小林さんという熱演のソリストふたりと見た目だけ差が生まれてしまいます。

抽象バレエでは左右対称とか動きの対比などが目立ちますので、体格差はいかんともしがたいですが難しいところです。











「アルルの女」より


さて「トリプル・ビル」の大トリであり、多くの観客が期待しているであろう「アルルの女」より が始まります。
青年フレデリはもちろん熊川さん、婚約者ヴィヴェットを我らが浅川紫織ちゃんが踊ります。

と、いうわけで期待大で臨んだ訳ですが…



演目自体はたったの 15 分です。
登場人物はふたり、前出の青年フレデリと婚約者のヴィヴェットです。

加えて実体としては登場しない「アルルの町に住む女」がいます。
要するに男ひとり、女ふたりのいびつな三角関係なんです。

青年フレデリの熊川さんは冒頭から心ここにあらずで、村娘の純朴なヴィヴェットを蔑ろにします。
幕が上がると舞台上には後ろ向きのふたり、ア・テールなので身長差も感じられ違和感はありません。

ヴィヴェットに関しては踊りというより一途な感情表現の演技‥でしょうか。
彼女は自分の方を向いてくれない婚約者に尽くしますが可哀想なくらい邪険にされます。

ヴィヴェットを演じた紫織ちゃんですが、贔屓でありながら今回はあまり感銘を受けることが出来ませんでした。
紫織ちゃんの感情表現の波が少なく平坦に感じられてしまったのです。

もちろん純朴で一途な娘なので、善悪を行ったり来たりするような振り幅は必要ありません。
ただその時々の気持ちのゆらぎみたいなものがもっと欲しかったように思いました。

特に自分の思いが報われないと悟る退場時には観客の心を捉える感情の山が欲しかったです。
とはいえ正味 10 分ほどしか観ておらず、楽日の今日もう一度観られればもっと別な感想を持ったのかもしれません。




ヴィヴェットが去ってからフレデリは現実と狂気の間を行ったり来たりして怒涛のクライマックスに突入します。

熊川さんの年齢にして舞台で上半身を晒し、短時間といえども感情を爆発させるような激しい踊りが出来るのは大したものです。
しかしながら年齢を感じさせる部分があり、舞台上のふたりが同世代のふたりと思えず、感情移入できなかったのは事実です。

ウチは観ていませんが、熊川さんが吉田都さんと数年前に踊った同作品はたいへんな名演だったと言います。
天才熊川をもっても、青年フレデリを演じ踊るにはやはり青年の心と肉体が必要なのでしょうか。








RICOH GR


終演後、観客をあらかた吐き出したホール入り口にて F 嫁です。



ふたりで話しながら帰ったのですがこれも批判覚悟で言います。
この「トリプル・ビル」 S 席 16,000 円は高く感じました。

前 2 演目は充実感がありましたが、フライヤーのメインビジュアルであり誰もが公演自体の主役と目するたった 15 分の「アルルの女」よりが圧倒的に物足りなかったのです。

またこのように発言すると「時間じゃない」と仰られる向きもあろうかと思います。
でも我々夫婦はやはり古典全幕が好きで、最初から最後までメインの踊り手をたっぷりじっくり観たいのです。

加えて圧倒的な人気を誇る熊川さんに対する複雑な思いも自覚しています。

以前に怪我をされていた時、スーツ姿でカーテンコールにのみ登場した熊川さんを見ました。
その瞬間「キャー!!」というアイドルさながらの黄色い声援が上り、2 時間以上に渡って全幕を創り上げてきたダンサー達への声援、賛辞がかき消されてしまうのです。

もたろん今回は実際に踊られている訳ですから、いくらでも声援を浴びて良いのです。
ただブラボーが飛び交う客席の中で、熊川さんが完全に踊らなくなったらどうなるんだろうと妙に冷めてしまうのです。

これらは演目、踊りとはまったく関係のない F の個人的な感情です。



いつものように紫織ちゃんの公演を観に行ったら、今回は熊川さんの踊りが観られてしまったのねぇという位置づけの我が家。

紫織ちゃん、また次回の公演を楽しみにしています。
オジさんとオバさんの期待を良い意味で大きく裏切る踊りを期待しています。




※ F 嫁の確認後、加筆修正する可能性があります












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