F log
10 月 16 日の日曜日。
午後から 京葉混声合唱団 の定期演奏会に行ってきました。
京葉混声合唱団については 過去に何度も記事にしています ので興味のある方はご参照ください。
創立 1964 年という歴史のあるアマチュア合唱団です。
現在はふたりとも離れてしまっていますが、我々にとって大切な団であることは間違いありません。
早い話、F と F嫁が出会ったのはこの合唱団 ですから、同団無しにはこのブログも存在し得なかったということです。
この日、F 嫁は残念ながら仕事だったので、F ひとりで出かけました。
RICOH GR
大改装中でまるで迷路のような JR 千葉駅を降りてロータリーを左に歩きます。
すると非常に特徴的な交番が目に入ってきます。覆いかぶさるように通っているは‥
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千葉市名物の懸垂式モノレールですね。
RICOH GR
市民にとっては見慣れたものですが、他から来る方は結構珍しいようです。
たまに萌え車輌みたなのが走ってますが、この時はノーマル塗装でした。
RICOH GR
モノレール沿いに数分歩くとすぐに目的の京葉銀行文化プラザが見えてきます。
演奏会はこのビル 3 階の音楽ホールで行われます。
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1 階ロビーに掲示されていた演奏会の案内です。
掲示といえばたいへん残念なお話も…
RICOH GR
あらら、京葉銀行文化プラザが無くなっちゃうようです。
音楽ホール存続前提の売却とありますが、なんとか次の運営者が見つかってほしいものです。
それにしても地銀も市も財政がそうとう厳しいんですね。
RICOH GR
掲示板反対側にはレストランがあり、この案内が出ていました。
お客さんはこの前を通ってホールに向かうわけで微笑ましいというか何というか(笑
わたしも写真係としてこのレストラン打ち上げに参加したことがありますが、まぁ楽しい会でした。
終演後の乾杯を楽しみに頑張ってもらいたいものです。
RICOH GR
受付を済ませまず 2 階に昇ってみました。
2 階最前列正面は特等席ですが、残念ながら先客がおられました。
こじんまりとしたシューボックス型で詳しい音響はわかりませんが好きなホールです。
RICOH GR
まず 1 階から埋めなくてはと降りてきて最後尾の端に落ち着きました。
今回も 1 階はほぼ満席、2 階もかなり埋まっていたそうです。
ステージ正面にオルガン、譜面台、左にピアノが待機しています。
第 38 回定期演奏会の演目は以下の通りです。
1. モテット 第 2 番 BWV226 J.S.バッハ作曲
2. 混声合唱組曲「水のいのち」 高野喜久雄 作詞 高田三郎 作曲
3. ミサ曲 ニ長調 Op.86 (オルガン伴奏版) ドヴォルザーク作曲
指揮 : 藤崎美苗
ピアノ・オルガン : 齋藤由美子
合唱 : 京葉混声合唱団
ステージ上にはタキシードの男声陣、黒スカートに白ブラウスの女声陣が並びました。
当時からよく知っているお顔も何人かいらっしゃいますが、それ以外の方々がほとんどで流れた時間を感じます。
ずっと伴奏を努めてくださっている由美子先生と、指揮の美苗先生が一緒に入ってきました。
拍手を受けながら由美子先生はオルガンの位置に、美苗先生は譜面台の前に立ちました。
久しぶりに見る美苗先生は黒のパンツスーツでスラッとした印象。
バッハ・コレギウム・ジャパンの合唱メンバーであり、公演によってはソリストも務める第一線の声楽家です。
ブルーのドレスを纏った由美子先生のオルガン単音が鳴り、直後に最初のバッハ「モテット第 2 番 BWV226」 が始まりました。
葬送の音楽でありながら軽やかな舞曲風に始まったモテットは、中間部の祈りを経て 2 つのフーガが織りなす荘厳な雰囲気へと変容します。
終曲はこれまたバッハらしい 4 声のコラールで、静かな祈りの音楽として閉じられます。
派手な部分はありませんが、オープニングに相応しい京葉混声らしい合唱だったと思います。
2 曲目の「混声合唱組曲 水のいのち」は 5 曲からなる組曲で、ピアノの伴奏にて歌われます。
1964 年に作曲されたというこの曲は、京葉混声合唱団と同じ歴史を持っています。
この曲のみワンステージメンバーとして加わった合唱団外からの方々が加わっています。
それが可能なほど日本の合唱団には馴染みのある人気曲だということでしょう。
空から雨が落ちて水がたまり川から大海に流れるまでを多彩な合唱で描写しています。
西洋の宗教音楽に馴染みがない方々にも、歌詞が日本語な事もあって親しみやすいのではないかと思います。
この日のメインは休憩を挟んだドヴォルザーク「ミサ曲 ニ長調 Op.86 (オルガン伴奏版)」です。
合唱団は第 1 曲モテットと同じ数になり、女声陣は落ち着いたピンクの衣装に、由美子先生は黒にお召し替えです。
ドヴォルザークの宗教曲といえば有名なレクイエム、個人的に大大大好きなスターバト・マーテル があります。
ミサ曲ニ長調はドヴォルザークの友人宅に完成した小さな礼拝堂の落成を記念して作られた曲だそうです。
40 分程もある大曲ですが、20 日弱で作曲されたということです。
ふたたび由美子先生のオルガン伴奏でキリエが始まりました。
伝統的なミサ曲のしきたりに従い、グローリア~クレド~サンクトゥス/ベネディクトゥス~アニュス・デイへと続きます。
元々私邸での小規模な編成だった為、35 人ほどの合唱団とオルガンの伴奏はオリジナルに近いものと思われます。
4 人必要なソリストも合唱団各パートから 2 名づつが努めました。
ソリストがいないのでどうするのかと思ってましたが、グローリアで各パートからのソリストが歌いだしたのには感動しました。
やはりソリストのパートを団員がこなせるほど、合唱団の水準が高いということでしょう。
ソプラノのソリスト 2 名の内おひとりは、F と F 嫁が在団中からお世話になっている K さんでした。
彼女の澄んだソプラノがちょうど対角で聴いていた F にもよく届きました。
しかし小規模なホールで聴くオルガン伴奏の合唱はいいですなぁ。
サンクトゥスからベネディクトゥスへの以降時にはオルガンの見せ場もあり、由美子先生の演奏を堪能できました。
アニュス・デイはテノールソロからフーガへと続き、Dona nobis pacem で静謐に曲を締めくくります。
キリスト教徒ではありませんが、Dona nobis pacem はあらゆるミサ曲で聴く度に敬虔な心持ちになる気がします。
観客から大きな拍手が送られ、京葉混声合唱団の第 38 回定期演奏会は無事に終了しました。
RICOH GR
拍手に応えてアンコールが行われ、1 曲目はバッハのカンタータ 147 番よりコラールでした。
宗教音楽をレパートリーの中心に据える京葉混声合唱団らしい見事な音の溶け合いでした。
由美子先生のオルガン伴奏も最高でしたね。
最後は定期演奏会恒例となった「故郷(ふるさと)」を観客も巻き込んで唄っちゃおうというやつです。
誰しも知っている「ウサギおいし~」という曲です。
上の写真は VPO ニューイヤーのラデツキーよろしく、指揮の美苗先生が観客の方を向いて「故郷」を振っているところです。
パンフレットに歌詞カードが挟まっており、第 2 番を合唱団のみで唄い、1 番 3番は観客も楽しげに唄っておりました。
“ 山は青き故郷 水は清き故郷 ” で演奏は終わり、ふたたび会場中が大きな拍手と歓声に包まれました。
RICOH GR
終演後ロビーへと出ると団員の皆さんと観客の皆さんが談笑されています。
F も何人かの方にご挨拶しましたが、T さん、K さん、S さん始め皆さんお元気そうで何よりです。
特に S さんの力強い握手のグリップは当時とまったく変わっていなく頼もしい限りです。
いつものように打ち上げもたいへん盛り上がったことでしょう。
残念ながら美苗先生と由美子先生にはお目にかかれませんでした。
久しぶりに聴いた京葉混声合唱団でしたが、あいかわらず素晴らしかったです。
素晴らしいといえばトップ写真に写っている今回の公演プログラムがまた素晴らしかったんです。
曲それぞれの解説も詳細かつツボを押さえた文章でわかりやすいし、歌詞と対訳の別紙もまた見やすかったです。
団の指揮者として 9 年を重ねた美苗先生が「京葉混声合を愉しむ」というタイトルで書かれたコラムも洒落てます。
今回の演奏会に向けた強化合宿の様子が写真付きでレポートされていたページも良いですね。
そして次回の演奏会の告知。
京葉混声合唱団は次回、バッハの「ロ短調ミサ曲 BWV232」 に挑戦します。
美苗先生が指導される別の合唱団との合同演奏会という形式になるそうです。
練習は毎火曜日と第 1 第 3 金曜日の 19 時 00 分~ 20 時 50 分で、希望者には別途ヴォイストレーニングもあります。
場所は千葉県立女子高等学校です。詳しくは文頭でリンクした京葉混声合唱団のウェブサイトをご覧ください。
F & F 嫁が出会った場所である京葉混声合唱団。
五十余年に渡る歴史はまだまだ高い次元で続いていくと思わせる素晴らしい演奏会でした。