F log
拙ブログにおいて 2005 年から 2008 年まで 8 回続けた “Standards” という不定期連載がありました。
Standards, Vol.1 Who Can I Turn To?
Standards, Vol.2 The Masquerade Is Over
Standards, Vol.3 I Had The Craziest Dream
Standards, Vol.4 Something I Dreamed Last Night
Standards, Vol.5 All The Things You Are
Standards, Vol.6 Laura
Standards, Vol.7 You Don't Know What Love Is
Standards, Vol.8 Easy To Love
要するに F が大好きな ジャズ・スタンダード の中から演奏と唄と一つづつ選ぼうという個人的趣味丸出しのコーナーでした。
順調に 8 回まで進んできましたが、Vol.9 で予定していたある曲の唄がどうしても選定できずにズルズルと引き伸ばした挙句、
5 年も経ってしまったという体たらくです。
最近久しぶりにジャズをまとまって聴く機会があり、再開しようかな〜と思い立った次第です。
個人趣味の開陳に誰も期待してないと思いますが、まぁ気楽にお付き合いください。
で、Vol.9 に行く前に勢いをつける意味もあり、ジャズのフォーマットとして大好きな ピアノ・トリオ の紹介をしたいと思います。
ご承知の通りピアノ、ベース、ドラムの 3 人で構成されるピアノ・トリオはジャズのバンドとしての最小単位です。
F はこのピアノ・トリオが本当に大好きなんですよ。
+αもピアノ・トリオ+1ホーン、ピアノ・トリオ+ギター、ピアノ・トリオ+美人ヴォーカル、どれもいいですなぁ。
今回 3 人のピアニストを紹介しますが、50〜60年代好きにはたまりませんね。
F はエバンス好きでもありますが、西海岸東海岸、カラーにこだわりがまったくない節操なしでもあります。
Standards の連載が続きますので、3人ともミュージシャンのオリジナル楽曲を選びました。
どれもスピード感があり、メロディアスでたいへん好きな曲です。
「PROFILE」 Duke Pearson (1959) より 「Two Miles Run」
デューク・ピアソン(P)のオリジナル曲「トゥー・マイルス・ラン」です。
文句なしにカッコイイですね。
動画では横に伸びちゃってますが、このジャケットもすんばらしくカッコイイです。
曲はマイナーなテーマでストライクゾーンど真ん中です。
このデビュー・アルバム「PROFILE」では冒頭の Like Someone In Love も夢に見るほど好きですが、
今回は疾走感のあるオリジナル縛りwということでこちらを選びました。
「A World Of Piano!」 Phineas Newborn Jr. (1961) より 「Cabu」
フィニアス大好き〜!!! とアルバム名に負けじと ! を3つも使ってしまいましたがそれほど好きです。
フィニアス・ニューボーン Jr. はすごいテクニックのピアニストですが、この「カブー」という曲は彼のオリジナルではありません。
サキソフォン奏者のローランド・アレキサンダーの手になるものですが、F にとってカブーといえばフィニアスなんです。
これもマイナー調のカッチョいいテーマは音が厚いと思いませんか?
これって 2 オクターブ離したユニゾン奏法なんですよ、奥さん!!
左右の手で異なる動きをするのは難しいですが、まったく同じ動きでメロディーを弾くというのもまた驚異的ですよ。
だってドレミだったら右手は親指、人差し指、中指ですが、左手は小指、薬指、中指なんですから。
これを同時に演奏してあろうことか 01:15 〜は火を噴くようなインプロビゼーションまでぶちかましてしまうとは…
F が何百回聴いてもシビレるのは、03:10 からリフを 2 回繰り返した後、03:23 からのランニングベース直後の決め です。
めっちゃカッコイイわぁ〜
この ドドシャ!! が聴きたいがためにこの曲に手を伸ばすといっても過言ではありません。
その後に再び怒涛のオクターブ奏法が炸裂するのですから。
個人的にはジャズのカッコ良さはと問われたらこの部分を推します。
「Sonny Clark Trio」 Sonny Clark (1960) より 「Sonia」
最後はソニー・クラークのタイム盤よりクラークのオリジナル曲である「ソニア」です。(トップ写真はクラーク)
冒頭の短いソロ部分、玉が転がるような美しい音が印象的ですね。
テーマもたいへん素敵な曲ですが、ここで聴くべきは右チャンネルから マックス・ローチ(ds)のシンバルレガート ですw
いや半分冗談にしてもクラークの美音に負けないほど、ローチのシンバルレガートは繊細で素晴らしい音がします。
これもローチのチンチキチンが聴きたくて手を伸ばすことがあるくらいです。
とはいえクラークのインプロビゼーションは素晴らしく、先のフィニアスとは対極のシングルトーンの極致です。
そしてこれも F の個人的萌えポイントですが、ベース、ドラムとの 4 バースを終えた後「ソニア」のテーマに戻るんですが、
その冒頭 04:28 からのテーマ 6 音 を和音で響かせるのです。
う〜ん美しすぎます。
いつのまにかローチのシンバルレガートにはアクセントがつき、音に芯も入っています。
さすがに盛り上げますねぇ。
このタイム盤はどれも良い曲ですが、アルバム最後に「ソニア」が控えているというのは素晴らしいことだと思います。
というわけであいかわらず「枝を見て森どころか木すら見ていない」状態ですがいいんです。
だって枝の先を見ているだけでも一生楽しめますからww
Standards Vil.9 は近日後悔‥いや公開です!