F log
前回 2012 年の公演 が素晴らしかったので、今回も必ず観たいと思っていた 「ロイヤル・エレガンスの夕べ」。
3 日間公演の最終日、8 月 10 日(日)に観に行ってきました。
ロイヤル・エレガンスの夕べ 2012
2 年前は鎌倉でしたが、今年は神宮外苑の日本青年館大ホールが会場です。
鎌倉同様、日本青年館も小ぢんまりとしていて、公演の趣旨に合致したホールです。
じつは職場小隊のサバイバルゲームがこの日に予定されていたのです。
ツイッターでバッティングの件をつぶやいたところ、バレエファンの皆様から「当然こっちだろう?」とのブレッシャーが。
結果的に台風は関係なくサバゲーは延期になったのですが、今後もこのような事態が予想されるので困ったものです。
そう、台風です。
のろのろでたちの悪い 11 号は日曜日に日本列島に上陸するといわれその通りになりました。
関東圏は風と雨が一時的に激しくなりましたが、公演は無事に行われました。
ゴタゴタはまだ続きます。
当初行く予定だった F 嫁が、どうしても外せない仕事上のイベント出席のため来られなくなりました。
いつもお世話になっている筋からチケットを 2 枚お手配いただいていたので困りました。
そこでいつもファンであると公言しているユフィちゃんを観てもらおうと、F 母 に声をかけました。
F 母といえば過去のログでも書きましたが、昭和一桁の元バレリーナ。
まだまだ良い舞台を観たい欲求はあるらしく、誘いに二つ返事で乗ってきました。
F 母と芸術や舞台鑑賞でご一緒することが多い友人の S さんもお誘いして 2 席を埋め、
F は単独で最後列の席を 1 席確保しました。
RICOH GR
外苑前駅で降りて神宮球場の前を通り、正面に見えてきた茶色い建物が日本青年館です。
この写真は 10 日の正午、雲行きは完全に怪しいもののまだ雨は降っておらず風もほとんどありません。
RICOH GR
建物左手の階段を昇った先が大ホールエントランスです。
徐々に風が強くなってきて 12 時半を回る頃には暴風と横殴りの雨となって、この階段は地獄と化しました。
横殴りというか下から吹き上げる風で、傘は片っ端から壊れるは女性のスカートもエライことになってました。
運営の配慮で会場時間を繰り上げたのは正解でした。
さて前段が長いのはいつもの F の悪い癖です。
ロイヤル・エレガンスの夕べ 2014 は、前回にも増して素晴らしい舞台でした。
よく言われることですが、舞台もさることながら運営というか作り手側の細かな配慮が感じられる点も気に入っています。
それは公演プログラムを見れば明らかです。
<キャスト>
ラウラ・モレーラ Laura Morera 英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル
サラ・ラム Sarah Lamb 英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル
ネマイア・キッシュ Nehemiah Kish 英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル
スティーヴン・マックレー Steven McRae 英国ロイヤル・バレエ団プリンシパル
崔 由姫 Yuhui Choe 英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリスト
リカルド・セルヴェラ Ricardo Cervera 英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリスト
ベネット・ガートサイド Bennet Gartside 英国ロイヤル・バレエ団ファースト・ソリスト
佐久間 奈緒 Nao Sakuma バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル
ツァオ・チー Chi Cao バーミンガム・ロイヤル・バレエ団プリンシパル
ダンサーは総勢 9 名と小じんまりしています。
ロイヤル・バレエから 7 名、バーミンガム・ロイヤル・バレエから 2 名という布陣です。
F いちばんのお目当ては大ファンである 崔 由姫 ( チェ・ユフィ ) ちゃん です。
でもどの出演者も素晴らしく、全体として洒脱かつ中身の濃い見事な企画だと思いました。
第 1 部
「真夏の夜の夢」よりパ・ド・ドゥ(オベロンとタイターニアのパ・ド・ドゥ)
振付:フレデリック・アシュトン
出演:ラウラ・モレーラ/ツァオ・チー
以前に観たはずなのにあまり記憶に残っていなかった PDD。
地味なようでいてジワジワ来るタイプの踊りです。
モレーラは完璧だしツァオ・チーもどっしりとモレーラを支えていて見事です。
このふたりが組むのはロイヤルバレエスクールの卒業式以来ということですが、
英国で活躍するふたりが再び交差した貴重な舞台でした。
「レクイエム」よりソロとパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン
出演:崔由姫/ネマイア・キッシュ
個人的にこの日、もっとも感銘を受けたのはこのレクイエムでした。
ユフィちゃんのファンであるということもあるのですが、キッシュとのペアがとても上手く行っていたと思います。
フォーレのレクイエムによる静謐な PDD。
マクミランらしい難解なリフト、空中での姿勢も刻々と変化してアダージョであるのにスリリングです。
とはいえ決して曲芸になっておらず、レクイエムらしい祈りにあふれた名演です。
ユフィちゃんのソロがまた絶品でした。
このソロはレクイエムですが、悲壮感はあまりありません。
ただただ美しいフォーレの音楽とダンサーであるユフィちゃんの身体が生み出す空間を味わうことができました。
急逝した友人ジョン・クランコへの追悼としてマクミランが創造した見事な演目でした。
なかなか難しいとは思いますが、ぜひ全編観てみたいです。
その際はもちろん生のオケと合唱団でお願いします。
「エニグマ変奏曲」よりトロイトのソロ *日本初演
振付:フレデリック・アシュトン
出演:リカルド・セルヴェラ
山椒は小粒でもぴりりと辛い、を地で行くリカルド・セルヴェラのソロです。
こちらも振付家の特徴を見事に現していて、アシュトンらしい細かなステップが織り込まれています。
それをユーモアも交えつつ完璧に踊りこなすセルヴェラは素晴らしいですね。
短いソロであっという間に終わってしまいましたが、その充実感たるや時間の長短には関係ありません。
かなりキッチリした衣装で激しく動き回ります。
仕立てがバレエの可動域を加味しているものなのか非常に気になるところです。
このソロは日本初演ということで、こちらも全編観てみたいですね。
「コンツェルト」
振付:ケネス・マクミラン
出演:佐久間奈緒/ベネット・ガートサイド
再びマクミランの振付け作品です。
来日予定だった平野亮一さんが怪我のためキャンセルになってしまい、代役として来たのがガートサイドでした。
ガートサイドはどちらかと言えばキャラクター寄りのダンサーだと勝手に認識してました。
でも踊りは丁寧だしサポートも的確で良い意味で裏切られた感じでした。
プログラムによれば、マイヤリンクのルドルフを初めてとしてシリアスな役柄も多数。
加えていくつもの振付家の初演を担っているそうで、さすがに実力は隠せません。
ショスタコーヴィチの協奏曲第 2 楽章からの PDD は、マクミランのミューズだったダンサーのバーレッスンから
発想を得たそうで、美しいポール・ド・ブラが印象的でした。
これは言っても仕方ないですが、当初の予定だった平野さんと佐久間さんのロミジュリはぜひ観たかったので残念でした。
「眠れる森の美女」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:マリウス・プティパ
出演:サラ・ラム/スティーヴン・マックレー
これはある意味で超強力なペアであり演目です。
まずラムとマックレーのお姫様、王子様然とした容姿、まるでおとぎ話のような‥という雰囲気です。
ラムのまとった英国伝統のちょいと下がったチュチュは美しいです。
マックレーも明るい髪の毛の色で、陽の雰囲気を振り撒いていました。
少なくともアダージョに関して近年稀に見るお手本のようなパ・ド・ドゥだと思いました。
マックレーの手を取ってラムが最初に見せたアチチュード (については煩いのです) は完璧に F 好みです。
端正でいて余裕も感じられ 「眠れる森の美女」 という大看板を代表するような踊りです。
初めてバレエを観る方に、パ・ド・ドゥとは何ぞやと問われたらこの日のアダージョをお勧めしたいです。
両ヴァリエーションもホォ〜と溜息の出る出来栄えでしたが、コーダは大技等多少盛り込み過ぎの感がありました。
もちろんふたりのテクニックは盤石で目を見張るものがあり、最終的にはピタッと決まったラストが帳消しにしましたが。
普通のガラ公演でいえば第 1 部のラストはこの演目でしょう。
ところがそうは問屋が卸さないのが 「ロイヤル・エレガンスの夕べ」 たる所以です。
「ルーム・オブ・クックス (Room of Cooks)」 *日本初演
振付:アシュリー・ペイジ
出演:ラウラ・モレーラ/リカルド・セルヴェラ/ネマイア・キッシュ
多彩な今回の演目の中でダントツの問題作です。
英国バレエならではの演劇性を前面に出した‥という言葉だけでは括れない複雑な舞台でした。
舞台にはテーブルと椅子が二脚。モレーラとキッシュが夫婦、セルヴェラが妻の愛人という設定でしょうか。
いきなりテーブルの上に包丁、それも骨まで断ち切るような巨大な肉切り包丁が刺さっているのです。
これだけでもドキドキする舞台設定ですね。
日本初演だそうですがさもありなん、これは普通のカンパニー来日公演では無理ですね。
前回のコジョカル座長公演の際「ザ・レッスン」 を演りましたがそれに近い、いやそれ以上の衝撃を感じます。
振付け自体は複雑な訳ではなく、登場人物 3 人の心理描写的なイメージで紡がれていきます。
世界初演のダンサーはモレーラ、セルヴェラにアダム・クーパーだそうで、そこを今回キッシュが担当しました。
第三者が登場する夫婦関係を夫の立場から表現しましたが、これはなかなか良かったですよ。
キッシュは王子様等のもろノーブルな役柄だとやや重く見えてしまう面があると思っていました。
こういった演劇要素が占める割合の多い作品は彼に合っていると感じました。
しかしモレーラは第 2 部の役もそうですが、本当に芸達者ですね。
バレエダンサーに対する褒め言葉になるかは微妙ですが、感心するくらい役を自分のものとしていました。
しかし英国人って本当にこういうのが好きですよね。
RICOH GR
ここで 30 分の休憩が入ります。
F の座席から撮影した日本青年館大ホールです。
ここが最後尾なのですからオケピが無いこともプラスとなって本当に観やすかったです。
最前列からしばらく段差が無いので、かえって後方の席の方がよく観えるのかもしれません。
第 2 部
「メタモルフォシス:ティツィアーノ 2012 「トレスパス」 よりパ・ド・ドゥ」 *日本初演
振付:クリストファー・ウィールドン、アラステア・マリオット
出演:サラ・ラム/スティーヴン・マックレー
これまた日本初演の作品で、ロイヤル・バレエ前芸術監督のモニカ・メイスン在任最後の作品として嘱託されたとのことです。
プログラムをよく読んでいなかったのですが 「ディアナとアクティオン」 がモチーフであります。
「眠り」の古典とは対照的に、身体能力の極地まで酷使するしんどそうな振付けです。
申し訳ないんですが、ご両人の動きは何となくイメージとして残っていますが、曲の記憶がさっぱりです。
リハの画像ですが、このラムからマックレーの甲に手をついて倒立しているというのは結構衝撃的でした。
これでゆっくりゆっくり一周するんです。
この他にもアクロバティックな姿勢が連続しますが、音楽と合っていたかといえばよく分かりません。
ただ同じふたりが演じるパ・ド・ドゥでも、古典とはまったく違った美しさがあったのは確かです。
「エリート・シンコペイションズ」よりスウィート・ハート
振付:ケネス・マクミラン
出演:崔由姫/リカルド・セルヴェラ
たったひと言 「カワイイ〜!」
このユフィちゃんとセルヴェラのカップルを見て微笑まない観客はいなかったことでしょう。
直前の演目がシリアスだっただけに、衣装のポップさがより際立ちます。
しかしマクミラン先生すげーな、あの「マノン」の次がこの作品だってよ。
別の写真。ユフィちゃんはこの目玉とハートのストッキング。ペアはなんとリアム・スカーレット。
小林紀子バレエシアターの公演でこの熱演を観ていますが、やはり本家はひと味違いました。
ガラ公演にこの演目があると華やかで楽しいですね。
ユフィちゃんは本当に可愛くて思わず双眼鏡を覗きながらニヤけてしまいました。(←危ないオッサン)
ペアを組んだリカルド・セルヴェラもコミカルな動きが本当に素晴らしかったです。
レヴェランス後に上手に捌けていく際にもしっかりと笑いを取っていました。
崔 由姫・リカルド・セルヴェラこの両名がどうして未だにファースト・ソリストなのか誰か教えてください。マジで。
「アスフォデルの花畑」より第2楽章
振付:リアム・スカーレット
出演:ラウラ・モレーラ/ベネット・ガートサイド
昨年のローザンヌ・ガラ 2013 でユフィちゃんが平野さんと踊った演目です。
その時も絶賛して書きましたが、上の写真で溌剌と踊るスカーレットが振付家として魅せたとてもとても美しい作品です。
プーランクの 「2台のピアノのための協奏曲」 を使ってスカーレットがこの振りを創造したのが若干 24 歳。
いや〜天才ですね、こいつは。
全編観たいといろいろな作品に書きましたが、これはその中でダントツ一位です。
またダンサーがモレーラと初演を担ったガートサイドというベテランで、非の打ち所がありません。
底知れぬこの作品の魅力をもっと多くの人に知って欲しいです。
そして繰り返しますが、全編通して観てみたいです。
できればユフィちゃんで(コッソリ)。
「ベアトリクス・ポター物語」〜ピーター・ラビットと仲間たち〜より「まちねずみジョニー」
振付:フレデリック・アシュトン
出演:五十嵐脩 (「ダンス・ツアーズ:未来の星」賞)
英国バレエ伝統の被りモノ。
公演を主催するダンス・ツアーズ・ブロダクションが若人を対象に行った春の講習会に参加した生徒の中から選ばれた男の子です。
五十嵐君は何歳くらいなんでしょうね。
多くの中から選ばれただけあって、短いながらもステッキを使った印象的な踊りでした。
指導、リハーサルとリカルド・セルヴェラが行ったそうです。
そういえば第 1 部でセルヴェラが踊ったトロイトのソロに通じるものがありました。
バレエを志す子供達にはたいへん素晴らしい経験になりましたね。
「ディアナとアクティオン」
振付:A・ワガノワ改訂(マリウス・プティパより)
出演:佐久間奈緒/ツァオ・チー
お約束の“半裸”です(笑
ガラ公演らしい演目といえばそうなんですが、バーミンガム組に関しては少々物言いがあります。
前回 2012 年にふたりが踊ったのは 「海賊」と「白鳥の湖」 でした。
ロイヤルのダンサー達が思い切った演目を積極的に取り入れているのにあまりに保守過ぎませんか。
もちろんペアの熟成はバッチリですし、技量的にも素晴らしいおふたりです。
だからこそ普段目にする機会のあまりない作品を持って来てもらいたいと思ったのです。
バーミンガム独自のレパートリーってどんなのがありましたっけ?
例えば 「美女と野獣」 だったらどうでしょう。
権利関係で難しいのかもしれませんが、次回はぜひ冒険的なプログラムをお願いします。
「Rotaryrotatory(ぐるぐる回る)」 *世界初演
振付:クリスティン・マクナリー
出演:崔由姫
ユフィちゃん 3 演目はソロです。
まぁ前述の 「未来の星」 賞のダンサー 4 人との競演でしたが。
これまで日本初演はありましたが、この作品はなんと世界初演。
正真正銘の初モノです。
ユフィちゃん自身の友人であるクリスティン・マクナリーが振り付けた作品ですが…
正直なところよく分からない作品でした。
オルゴールの人形を模した様な動き、4 人の子ども達も同様で実験的、試行的な作品といえるのでは。
まぁ個人的にビョークの音楽は理解不能なのでそれもあるかもしれません。
音楽が止まって次の展開があるのかと思っていると、また同じ音楽の繰り返し‥と感じてしまいました。
ごめんなさい、この作品に関しては本当にわからないです。
今後マクナリーの振付けがどのように評価されていくか気になるところです。
「瀕死の白鳥」
振付:ミハイル・フォーキン
出演:サラ・ラム
勝手な誤解なのですが、ラムは黒いチュチュで踊るのだと勘違いしていました。
演目変更のお知らせに黒鳥の衣装をまとったラムが写っていたからだと思います。(プログラムの写真も黒でした)
ロシア系のスーパー瀕死の白鳥 (って変な言い回しですが) を見慣れているのでもどかしさがつのりました。
ロパ先生の様なウルトラ繊細なアームスと、もはや連続に見えるパ・ド・ブレが当たり前では贅沢でしょうか。
もちろん一羽の白鳥としてはとても美しかったです。
ただ“瀕死”かどうかといわれたら、やや生気が優っていたように思います。
こういった精鋭が集うガラで、この作品を踊るというのはかなりの覚悟が必要だと思います。
ラム本人も期するところがあったはずですから、今後に期待したいです。
「QUIZAS(キサス)」 *日本初演
振付:ウィリアム・タケット
出演:ラウラ・モレーラ/リカルド・セルヴェラ
この作品も日本初演でモレーラとセルヴェラに対して振り付けられたという粋な小品です。
生温いキサス・キサス・キサスに乗って怠惰ともいえる雰囲気を醸しつつ前半は進んでいきます。
真ん中にパ・ド・ドゥがあり、ここではイメージがガラッと変わって恋人同士の結びつきが感じられます。
ふたりともこの作品を心から楽しんでいるのが観客にも伝わってきます。
これなど例えばバレエフェスのガラの様な「公式ガラ」では雰囲気に合いませんね。
英国という縛りで特化した半ば私的なガラであるからこその演目だと思いました。
モレーラはダンサーであることを忘れてしまいそうなほど女優だし、セルヴェラの変幻自在な存在感といったら。
やはり彼はプリンシパルの器だと思います。
しかし先日ロイヤルのアシスタント・バレエ・マスターに就任したそうですから、今後は指導者の道もみえてくるのでしょう。
「チャルダッシュ」 *日本初演
振付:スティーヴン・マックレー
出演:スティーヴン・マックレー
トリは前回同様、マックレー先生 (先輩という言い方は好きじゃない) の自作自演です。
もう彼が登場しただけで観客の期待値も MAX のようでした。
終演後に考えが変わったのであえて言いますが、F はタップ反対派でした。
公演前に世界的な タップダンサー熊谷和徳さん のドキュメンタリーをテレビで見ました。
それに対しマックレーのタップはあくまでバレエダンサーの余技と思っていました。
しかし今回の「チャルダッシュ」には度肝を抜かれました。
何と說明してよいのかバレエのパとタップを組合せてきたのです。
例えばマックレーの高速シェネは定評のあるところですが、その速い動きのまま回転しながらタップを踏むのです。
それも踏むことによってシェネのスピードが落ちていると感じさせません。(現実にはまったく違うスピードでしょうけど)
彼の軸はいったいどーなっているんでしようねぇ。
後半になってあまりの凄さに笑いさえこみ上げてきます。
タップ反対の前言撤回します。
これはバレエダンサーによる新しいタップです。
タップ専業ダンサーに比べたら個々のテクニックでは劣るのかもしれません。
ただそれにも増してバレエ風のタップというのは得難い個性だと思います。
ルルベで床から離れようとするバレエダンサーと、爪先から踵まですべてを使って床と対話するタップダンサー。
その両立を成し遂げているスティーブン・マックレーという踊り手は本当に凄いと思いました。
RICOH GR
売店で売っていた記念 T シャツです。 (トップ写真も)
女性サイズはすべて売り切れでしたが、男物の L サイズ最後の一枚をゲットしました。ラッキー!
終演後、ロビーでユフィちゃんの母上にお会いしました。
もうしつこく書きますが本当にお美しいんです。
F 母もユフィちゃんの母上を見て「女優さんみたいね」と申しておりました。
こちらに連れがいたので簡単に公演の感想を述べさせていただいただけで失礼しました。
本当はもっともっとお話したかったのですが残念でした。
F 母の印象に残った演目は「レクイエム」「眠れる森の美女」「チャルダッシュ」だそうです。
友人の S さんは一瞬でモレーラ推しになり、「ルーム・オブ・クックス」「キサス」の印象が強かったようです。
初めて息子の推しメンである崔由姫ちゃんを観た F 母は、我が子の審美眼に安堵したようです。
また世界一流の舞台を観せられる機会があればいいなと思いました。
ロイヤル・エレガンスの夕べ 2014 は期待通りの素晴らしい公演でした。
前回も書きましたがとにかく企画から運営まで小規模ながらツボを押さえた心憎いものです。
それを代表するのが 1,500 円の公演プログラムです。
ダンサーそれぞれの写真も素晴らしい上、演目一つ一つにプロデューサー格のモレーラのコメントが入っています。
加えて実際に踊るダンサー達がそれぞれの作品に対する思いを綴っていきます。
このプログラムは本当に素晴らしいです。
2012 年に引き続き書きますが、ダンサーを始めこの公演に携わったすべての関係者の皆様に感謝します。
たいへん素晴らしく魅力的な 3 日間をありがとうございました。
次回、ロイヤル・エレガンスの夕べ 201x が開催されることを心から祈っています。