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Channel: F & F嫁の “FFree World”
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ボリショイ・バレエ来日公演 2014

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F log



同僚が体調を崩してしばらく休んでおり、師走に入って洒落にならない忙しさの F です。
例年のごとく年末年始も休みなしの仕事ですので、お年頃もあり(笑)体力が保つのか心配です。

そんな中、ボリショイ・バレエが来日したので各方面に無理を言って 2 日間観に行ってきました。
じつは 12 月頭が F の誕生日だったため、F 嫁が 2 公演ともチケット代を出してくれたんです。多謝。



「ラ・バヤデール」は 12 月 4 日(木)マチネ、「ドン・キホーテ」は 7 日の日曜日の公演最終日でした。
特にバヤのマチネは平日でありダメかもと諦めかけましたが、Y 君がヘルプに来てくれました。ありがとう。

公演直後は本当に忙しくてとても感想を書いている暇がありませんでした。
これだけ時間が経ってしまうと記憶も怪しくなりますし、今回は思ったことのみ羅列したいと思います。(いつもそうかもしれませんが)





RICOH GR



東京文化会館

半年の改修工事を終え再オープンとのことでしたが、新しくなった点がよくわかりませんでした。

【改修工事の主な内容】
  ○大小ホール・ホワイエの天井その他建築改修
  ○舞台照明・音響・装置の更新・改修
  ○空調・給排水・電気設備等の更新・改修

というのが内容でしたが、確かに観客として実感できる点は少ないかもしれません。
悪名高い空調がどう変わったのか真価が問われるのは夏でしょう。

マチネではトップ写真の下手 15 列だったのですが、気のせいかほんの少し座面が上がっているような気がするんですが‥
こればかりは前に座る方の座高と髪型、姿勢にもよりますので本当に気のせいかもしれません。

照明に関してはひと言いいたいことがあります。

指揮者が登場する直前、会場の照明が暗くなるわけですが、徐々に絞られる照明とパッと消える蛍光灯の様な照明が混在しています。
徐々に暗くなるといよいよ始まるとワクワクしますが、一気に照明が落ちると色気がありませんから改善を求めたいところです。




「ラ・バヤデール」

バヤデルカといっていたのはマールイだけでしたっけ?
それはともかくグリゴローヴィッチ版の改定により、今回の公演では第 4 幕の寺院崩壊が省かれています。

バヤの映像を一番最初に見たのはパリオペだったと思いますが、やはり寺院崩壊はありませんでした。
その時わけが分からず、後年ロイヤル版を見た時にやっと得心した事を思い出しました。

以降は個人的に寺院崩壊は必須と思っていた時期が長かったんですが、最近ではやや冗長かなと思うようになりました。
影の王国が素晴しければ素晴らしいほど、その余韻で終わる方が今ではしっくりきています。




ボリショイの本拠地での映像からしたら手狭の舞台でしたが、セットはゴージャスでしたね。
高さもそこそこあり奥行きも感じられ、左右の窮屈さが感じられましたが舞台装置には感銘を受けました。

影の王国もスロープが 4 段あり、その分方向転換が多くて大変そうでしたがそれは見事でした。
フルサイズ 32 人の影はやはり迫力がありますね。

影の出も 2008 年からこだわりまくっている点 はまったく問題なく、やはり個人的デフォはボリショイと感じます。
本当に素晴らしい影の王国でした。









「ドン・キホーテ」

まぁバルセロナの街角が美しいこと。
もろちんセットだけの話ではなく、舞台の隅々まで登場するダンサーが美しいのです。

ドン・キはある種お祭りなので、華やかさは一番だし出てくる人物がすべて美男美女とくれば舞台映えします。
実質の幕開けの場としてはいうことありません。

個人的な好みは、街中→ジプシーの野営地→居酒屋→結婚式です。
しかし今回は野営地と居酒屋が逆でしたね。

緞帳がいったん降りて舞台転換の際、その間を有効に使おうと道行きを積極的に使う演出です。
セット転換の最初、一番雑音が響く可能性が高いところで子役に足踏みさせるのはいいアイディアだと思います。

一方で「ラ・バヤデール」では主役のひとりともいうべきガムザッティの登場シーンが道行き下手からとなっています。
登場人物の中でもっとも華やかであるべきガムザッティが、狭い緞帳前の通路で初登場するのがしっくり来ません。

拍手のタイミングもありますしね。









RICOH GR



アンナ・ニクーリナ

今回無理してマチネに出かけたのは、彼女が踊るニキヤを観たかったからです。
F 嫁が気を遣ってわざわざチケットをとってくれました。

8 年前のボリショイ・バレエ来日公演「ラ・バヤデール」 影の王国の第 3 ヴァリエーションを踊ったニクーリナに一目惚れしたのでした。
その彼女がいよいよセンターでニキヤを踊るというからには、万難を排して駆けつける価値があると思ったのです。

ただ残念ながらニクーリナのニキヤは F 個人には好みではありませんでした。
どことなく淡々と表情を変えずに踊り、ニキヤとしてのパッション (炎の様に表出するものではなく) が感じられませんでした。

ザハロワでさえも寺院前でソロルと逢った時は表情がパアッと明るくなったものでした。
もう少しメリハリのある演技を求めたいんですが、これも人それぞれのこのみでしょうね。

上記リンク、8 年前のグラチョーワ様のニキヤはそれは素晴らしかったし、個人的には現役最高のニキヤはヴィシニョーワだと思います。
2 年前のマリインスキー・バレエ来日公演で、ヴィシ&コールプ&コンダウーロワというゴージャスなバヤ を観ましたから。

でも「ドン・キホーテ」の森の女王などはよかったんです。
イタフェが無いのは残念でしたが、最後のグラン・ジュッテなどフワッと軽く高い跳躍で素敵でしたね。

「白鳥の湖」でのオデット/オディールは今回観てませんが、役柄によって向き不向きが感じられる気がします。
たとえば「マノン」とかは現時点ではあまりイメージできません。

とはいえ世代交代の進むボリショイでは今後、ニクーリナの活躍する場も増していくことでしょう。
更なる活躍を期待します。







クリスティーナ・クレトワ

ウチにとっての初日でガムザッティ、楽日でキトリと偶然ですがある意味クレトワ祭りとなった今回の公演です。
クレトワというダンサーは初めて観ましたが、なかなかよいですね。

F にとってのボリショイでのガムザッティといえば、やはりアレクサンドロワなんですね。
8 年前もグラチョーワ様のニキヤと丁々発止を演じましたし、ザハロワとの映像作品でもその超絶パワーを見せつけてます。

クレトワはそれに比すれば線は細いものの、華がありガムザッティには合っている気がします。
ニキヤとの対峙シーンでは交差するジュッテとか、演技より踊りの要素が強くて演出的にもの足りないのですが好演でした。

バヤの音楽の中で F が一番好きなのは婚約式でのガムザッティの舞いなんです。
有名なヴァリエーションではなく、イタフェ直前から使われる曲でよく口ずさんでいますよ、はい。

ここでのクレトワは堂々としたイタリアン・フェッテを披露し、その後のフェッテでも前半オールダブルと見せつけました。
総合的にクレトワのガムザッティは好感を持ちましたが、まだまだ進化する余地があると思います。



楽日のキトリも可愛い娘っぷりでした。
キホーテ老人と踊りながら、バジルがファニータと踊ってるのをチラチラ盗み見している表情がよかったです。

居酒屋や結婚式ではいま一歩の弾けっぷりを見せてもらいたかったですが、最終日でもあり体力的にはしんどそうでした。
とはいえテクニックもあり表情も豊かで演技巧者だし、次世代を担うダンサーとして今後も期待したいと思います。



余談ですがガムザッティ性善説を唱える F としては納得の演出でした。
花籠の蛇がニキヤの首筋に食らいついた際も心底驚いてましたし、名指しされて狼狽える演技は(殺害の)自覚は無かったととれます。

ただ第 2 幕の緞帳が降りる際に恒例の「殺してやる」のマイムが無く、胸に手を当てて祈るようなポーズでした。
あのプルプル震えるようなアレクサンドロワの力強い握りこぶしが懐かしく思われ、この演出ではしかたのない弊害ですね。






ソロル&バジル

ソロルはミハイル・ロブーヒン、バジルはセミョーン・チョージンがそれぞれ演じました。
どちらも素晴らしいダンサーでしたが、チョージンの長身とサポートが特に印象に残っています。

まぁ毎度比較して申し訳ないのですが、個人的な世界一のソロル、マリインスキーのイーゴリ・コールプに比べると薄いです。
ニキヤが花籠を持って踊っているときなど、センターそっちのけで玉座に双眼鏡を当て続けるのは F の悪い癖です(笑)

性善なガムザッティが笑顔で覗き込むも、ロブーヒンのソロルは下を向いたままなんですよ。
もうちょっとオロオロして欲しいですねぇ。

そうそう、大僧正がドゥグマンタにチクリに来た際、退場するソロルと大僧正がしばらく見つめ合うのはよい演出ですね。
ソロルは大僧正に逢引きを目撃されたのは知らないはずですが、やましいところがあるのかそそくさと視線を外して逃げます。

もっとも戦士ソロルとしてのヴァリエーションは素晴らしかったし、立ち姿などスッとして美しいですね。
ザハロワ同様、マリインスキーからの移籍組で、今後も活躍しそうですね。



チョージンは初めて観ますが日本でも馴染みのあるダンサーです。
まずその長身とプロポーションの良さが際立ちます。

最初はバジルにしては大人しすぎるかなと思いましたが、舞台が進行するにつれ気にならなくなりました。
クレトワをサポートする手腕はなかなかのものだったと思いました。

ジークフリートの様な純粋な王子様、ソロルの様な戦士の役も観てみたいですね。
東バのみならずゲストに呼んでもらって、今後も日本で見る機会が増えるといいなと思います。






RICOH GR





アンナ・レベツカヤ

先ほど我が家的にはクレトワ祭りと書きましたが、個人的は レベツカヤちゃん祭り なんです(笑)
レベツカヤちゃん大好きです。

8 年前の来日公演で「ラ・バヤデール」壺の踊り (マヌー) を踊ったレベツカヤちゃんに一目惚れ (←多いなまったく) したのです。
そのレベツカヤちゃんが今回のバヤでもマヌーと聞いて嬉しくあるのと同時に一瞬複雑な気持ちにもなりました。

ただボリショイでマヌーといえばレベツカヤといわれて任されているなら、それはそれで頼もしいことです。
短い踊りですが当たり役が無いまま過ごすダンサーもいる中、そう思われているなら幸せといえます。

その壺の踊りでは長年踊ってきた円熟味を感じました。
いえいえ長い三つ編みをつけたルックスはあいかわらずカワイイのです。

マヌーは子供のダンサーふたりとともに踊られます。
ボリショイバレエ学校の生徒であっても数回のリハで踊ることが多いでしょうし、今回は日本の小さなバレリーナでした。

子供ふたりに対するリードに慈愛のようなものが発散され、このダンサーの懐深さを感じました。
マヌーは今回の方が断然良かったですよ。





そして思いもよらないプレゼント。
最終日の「ドン・キホーテ」でレベツカヤちゃんはキトリの友人、ファニータに任じられたのでした。

やった!これは上手くすれば最終幕までレベツカヤちゃんを観られるぞとロビーで配役表を持って小躍りしたものです。
舞台が始まるとすぐにもうひとりの友人ピッキリアとともにレベツカヤちゃんが踊るファニータが登場しました。

カワイイ~

バレエ学校の卒業年度で 8 年も若いピッキリアのヤニーナ・パリエンコと比べてもまったく見劣りません。
というかダントツに美しいんですけど身贔屓かしら?

第 1 幕でのレベツカヤちゃんはとにかくエネルギッシュでしたね。
舞台のあちこちに顔を出し、あらゆる登場人物とマイムで話しまくり、笑って、ひやかして縦横無尽の活躍でした。

もちろん踊りも素晴らしかったですが、考えたらマヌー意外はあまり見たことなかったんですよね。
テクニックも見事でしたが、表情が魅力的だし存在感があります。



第 1 幕でレベツカヤちゃんのファニータにすっかり魅了された F です。
第 2 幕の居酒屋ではいささかベクトルが異なりました(笑)

ご存知の通りボリショイの居酒屋ではギターを抱えたスペインの踊りが 3 人の女性によって踊られます。
舞台上も客席もそのゆったりした、でもとても厳しい踊りに釘付けになっている中、F の双眼鏡は下手に向けられてました。

居酒屋いちばん左のテーブルについたのは、キトリ、バジル、ファニータ、ピッキリアの 4 人です。
レベツカヤちゃんのファニータは客席に横顔を向けて座っていました。

そこを双眼鏡で観察していた F の対物レンズにとんでもない光景が!

なんとレベツカヤちゃん、テーブルの上に置いてあった本物の果物 (サクランボのように見えた) を食べだしたのです。
舞台装置のグラスやお皿で飲む振り、食べる振りをするのはよく見られます。

が、レベツカヤちゃんのそれはマジ喰いです(笑)

最初は箸を使って‥その箸使いも日本人よりもちゃんとしていて見事でした‥次からは手づかみで。
洒落でひと口つまんだのかと思ってましたが、本当にパクパク食べていて、5 つまで数えて止めました。



その謎はすぐに解けました。
第 3 幕、ジプシー野営地での人形劇の観客として乱入したものの座って見ているだけ。
友人として出席した結婚式で踊る場合もある第 4 幕では別のダンサーがヴァリを踊り出番なし。

要するにもう踊らないので食べていたんですね。

年齢から考えて次回のボリショイ来日公演でレベツカヤちゃんを観られる可能性はあまり高くないかもしれません。
もし今度が最後ならは踊っている姿を目に焼き付けようとしましたが、焼きついたのは喰っている横顔でした(笑)

でもそれすら愛おしくなるのはファンならではですね。

とはいえ観に行った両日ともレベツカヤちゃんが踊っている姿、舞台に立っている姿をたっぷり見ることが出来ました。
カーテンコールでもたくさん拍手をしました。

レベツカヤちゃん、日の丸の扇子を持って踊ってくれてありがとう。
フィーリン監督、彼女をキャスティングしてくれてありがとう。






RICOH GR



最後は駆け足で。


大道の踊り子

F 嫁がエスパーダと並んでドン・キで楽しみにしているは、第 1 幕の大道の踊り子です。
F 嫁はもし自分がドン・キで役をもらえるんだったらこれがイイといつも申しております。

この日踊ったアンジェリーナ・カルポワは超美人で F 嫁大満足です。
やはり大道は黒髪が似合いますね。




エスパーダ

 ※ F 嫁帰宅後に追記予定。




キューピッド

これも F 嫁のチェックポイントのひとつです。
マリインスキー時代のオブラスツォーワの「間」をこよなく愛する F 嫁には少々もの足りないキューピッドだったようです。

もちろんユリア・ルンキナの踊りは完璧でしたし、可愛らしいキューピッドでしたよ。




影の王国

前述したように申し分ありません。
やはり影の王国はロシアバレエの真髄ですね。




グラン・パ第 1 ヴァリエーション

アンナ・チホミロワ の驚異的な身体能力に目を見張りました。
将来を担う逸材だと思いました。今後が楽しみです。




コール・ド・バレエ

群舞左側に超絶好みのダンサー発見。
もちろん名前はわからないので今後のお楽しみにします。




OB・OG

楽日ドン・キの客席には セルゲイ・フィーリン 芸術監督が座っていました。
かなり痩せていてあいかわらずサングラス姿でしたが元気そうでした。

カーテンコールではクレトワ、チョージンに呼び出されて緞帳前で挨拶していました。
観客からはたいへんな声援が湧き上がりましたが、あくまで主役のふたりを立てていて流石と思いました。

パンフレットでは 2 年前に現役引退した ステパネンコ姐さん がボリショイ・バレエの団長になったとの紹介。
ニーナとのペアで一時代を築いた ファジェーチェフ はドン・キの振付けとして掲載されてました。

ダンサーを引退した先達が組織としてのバレエ団を支えているんですね。










個人的好み全開のとりとめもないレポでした。
次のボリショイ・バレエ来日公演は 2017 年だそうです。

やはりボリショイ・バレエは好きなカンパニーです。
今回は 2 公演しか観られませんでしたが、この次はもっと観られるようになるといいと思います。














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