F log
ドイツLE風装備の変遷 9 より続く
気づけばこの連載も 10 回目です。
終わりはまったく見えませんが、ゴールが遠く足掻いている時期が後から考えらた楽しかったのだと思いたいです。
何度か説明していますが LE (Law Enforcement) というのは、警察に代表される法執行機関の事です。
なので F のコスプレはどんなに物騒でも戦争をする軍隊ではなくて市民を護る正義の味方 なんですw
とはいえ町の駐在さんがこんな重武装な訳はありません。
米国なら SWAT、日本に当てはめれば SAT や銃器対策部隊という事になりましょうか。
ドイツ地方警察特別出動コマンド(Spezialeinsatzkommandos 通称 SEK)という部隊で、日本の県警にあたる州警察に属しています。
国際テロ等に登場する有名な GSG9 というエリート部隊もありますが、F の好みは地元の街で犯罪に対処する SEK なんです。
2015~2016 の年末年始、ドイツのミュンヘンでテロ予告があり、ミュンヘン中央駅の警備に出動したバイエルン州警察 SEK です。
F は元々ハンブルク州警察 MEK の全身真っ黒な装備に憧れてこの道に進みました。
現在も未完成ながら黒装備はコツコツと続けております。
ただこのバイエルン SEK を見た時はシビレました。
特に手前から 2 人め以降の隊員が所持しているグニャリと曲がったバイザーストック付きの MP7 には惚れました。
RICOH GR
その後、苦労してなんとか近い仕様まで持って来られました。(現在は T2 のマウントが異なります)
このイスラエル FAB DEFENCE 製のヘルメットバイザーストックは特に大変でした。
そして市販されていない MP7 の 30rd マガジンを再現するために、BB弾の発射すらオミットしました。
なので完調の VFC ガスブロながらこの状態では撃てません。(マガジンを標準の 40rd に変えれば射撃可能)
でもいいんです、コスプレなんですから。
そして MP7 以上の難物は写真の BDU、アーマーの色です。
前述の様にドイツ地方警察特別出動コマンドといえば、対象者に威圧感を与え抵抗の気力を削ぐ全身真っ黒が基本でした。
ところが近年『脱・黒衣』が各州で進んでいて、バイエルン州警察はその先頭を走っています。
写真の様にバラクラバやグローブ、シューズは黒ですが、他はほとんど茶系の装備です。
特に BDU のパンツはドイツのメーカー Lindnerhof Taktik が警察や軍に直納しているらしく一般には出回ってません。
ディテールはアークテリクスのようなクレイのような‥
ブンデス(ドイツ国防軍)装備の先輩に教わったのですが、リンデンホフが過去に使用実績のあるアークやクレイのいいとこ取りをしたのでは‥と。
色もコヨーテブラウンとレンジャーグリーンが混ざったような微妙なカラーである Steingrau-Oliv (ストーングレイ・オリープ) です。
それから膝部はアークテリクスの瓢箪型ニーパッドが収納出来、ベルトをパンツの外に出して巻けるという機能があります。
この機能にまた惚れてしまったのです。
アークテリクスの近い製品を入手(トップ写真左側)したりしましたが、膝部の設えは良いのですが色がどうにもなりません。
そこで同様にドイツ警察に納入実績のある UF-PRO というメーカーから出ているストーングレイ・オリーブのパンツを入手してみました。
RICOH GR
UF Pro Striker XT Gen.2 Combat Pants (Steingrau-Oliv) です。
ホワイトバランスの関係で色はきちんと出ていないかもしれませんが、ストーングレイ・オリーブです。
膝部は二重のパッドを収納できる機能的な物ですが、例の “ベルトを外に出す” が出来ません。
そこで困った時の頼ったのがツイッター上でお世話になっている 縫製作家の長谷川秀直さん (@0517_0501) です。
以前にアサルトスーツの二重裾化を依頼したことがあり、今回も節操のない半端仕事ですが快く引き受けてくださいました。
というのも長谷川さんはただの生地からフルカスタムで BDU やアーマーを制作する事が可能なプロフェッショナルです。
ご自身もサバイバルゲーマーで装備に関してご興味があるとはいえ、ややこしい細かな注文を受けて頂き感謝しています。
というわけで、UF-PRO の色だけ合ってるコンパンを長谷川さんがアーク風‥というかリンデンホフ風に改造したのがトップ写真右です。
RICOH GR
膝の正面にはバッチリな幅広ウェビングが縦に貼られて、左右 2 箇所づつベルトを排出する穴が穿たれています。
そして特筆すべきはニーパッドを入れていないのに、膝部がアーチ状に盛り上がっています。
au
もちろん本家の本家、アークテリクスも同様の加工が施されており、ニーパッドを収納して膝の動きを考えれば必須ではありますが。
写真は長谷川さんの工房にお邪魔した際にスマホで撮った膝部のパターンです。
もちろんこれがすべてではなく、素人が見ても何がなんだかよくわかりません。
これらを頭の中で組み立てて三次元の画を構成できる縫製作家さんは本当に凄いと思います。
RICOH GR
アークテリクスの個性的なニーパッドです。
バイエルン州警察 SEK の現職さんには面倒くさいのか、収納機能がありながら外から巻いている方もおられますが‥
RICOH GR
せっかくの機能を使わない手はありません。
UF-PRO の場合、膝上部にファスナーがあってここからニーパッドを収納する事になります。
全体はこの様になります。
アークテリクスのドラックパンツとの比較はトップ写真に。
二重裾こそ再現してませんが、膝部の設えといい色といいかなりイメージに近くなりました。
膝上下と臀部の伸縮素材は本当に微妙に色が違いますが、ここら辺りは大人の判断でスルーします。
この写真は GR でカスタムホワイトバランスを行ったので実際の色に近いと思います。
RICOH GR
逆に着用写真は F 嫁が仕事で不在の際にセルフで撮ったので、フォーカスはズレてるわ緑がかってるわでろくなもんじゃありません。
RICOH GR
現職さんの写真と並べてみました。
左側の方はニーパッド自体入れてませんが、右の小柄な方は正規?の使い方をしています。
もちろんディテールは違うとこだらけですが、かなりイメージに近くなったのではないでしようか、と自画自賛です。
※自分勝手な脳内設定は次の通りです。
UF-PRO もリンデンホフ同様、警察・軍への販路を広げたいと思っていた。
しかし隊員の評価も高いリンデンホフの牙城はなかなか崩せなかった。
それならウチもアークテリクス風にと試作した BDU をいくつかの州警察に無償で配布して評価を求めた。
なんちゃって。
RICOH GR
玄関セルフタイマーで全身写真。
膝裏に伸びる 2 本の黒いベルト。
そうなんです!まさにこれがやりたかったのです!
コンシャツのボディ部分ですが、リンデンホフのは黒に近い濃紺なんです。
でもまぁどうせボディアーマーでほとんど隠れるからいいんでけど‥
ボディアーマー …
次から次へと現れる難題にして最大の壁はストーングレイ・オリーブのボディアーマー+付属品です。
RICOH GR
ハンブルク州警察 MEK で問題になるバイザーヘルメットですが、この場合はレプリカですが解決済みなのは前回の通りです。
ヘッドセットは COMTAC Ⅲ が欲しいところですが、これも大人の判断で気づかない事にします。
ちなみに左上の現職さんは、上の横並び写真右から 2 番目の方です。
彼らが着用しているアーマーはおそらく警察の特注品であろし、装備が始まったばかりなので放出品も現れないでしょう。
そしてドイツ地方警察特別出動コマンドというマイナーなジャンルにレプリカが登場するとも思えません。
なので…
RICOH GR
1000デニール・コーデュラ生地のサンプル帳を手に入れました。
え、まさかやる気なの???
じつは件の長谷川さんの工房にていろいろ相談に乗っていただいている最中、たまたまアーマーの話になったんです。
そしたら生地さえあれば近いものが再現出来る‥と力強いお言葉を頂きました。
で、長谷川さんのアドバイスで生地屋さんにサンプル帳をお願いする事になったのです。
RICOH GR
もちろんストーングレイ・オリーブなんて名前の色がサンプルにあるわけじゃありません。
ここら辺りはたいへん微妙な色ですし、例によってモニターによっても色味が違って見えます。
RICOH GR
実際のパンツに当ててみてもこのわかりづらさ。
51.ダークブラウンが近いとも思えますが、47.カーキも微妙ですね。
F は本当にこのややこしいアーマーがどうにかなると思っているんですかね。
もちろん長谷川さんはベルクロやウェビングを含む生地が入手出来、ディテールがわかれば製作してくださると思います。
しかしショルダー、ネック、スロート、グローインの各アーマーパーツも必要ですしポーチ類もねぇ。
もっともリンデンホフの MP7 マグポーチとピストルマグポーチは入手してあります。
似た生地が手に入れば良いのですが‥
あ~でもこれやりたいんですよ。
股間にバイエルン州警察のパッチ をつけたいんですよw
ドイツ LE 風装備の変遷 11 につづく